竹屋町ぬい
名物裂の一つとして数えられる竹屋町は
一見して織物のように映る刺繍で
その名称は京都の町の名前に由来します。
平箔糸を用い布の緯糸に沿い経糸をすくい
それをとじ糸の代わりにしながら
文様の面をぬい詰めます。
経糸のすくい糸は本数によって場所を変えます。
裏に回った箔と表に出た箔とで
幾何文様が自由に作れるのが特徴です。
主に表装裂に使います。
布に該当するベースがあれば刺繍はできます。
布に下絵をつけ、デザインに合った繍技を選びます。
糸の素材と太細、撚糸と無撚糸、それに配色。
刺繍はどのようにも表現できる自在性を特色とします。
刺繍の始まりを推測しますと、布と布を接続するときに出来た
×××××や------のステッチが
装飾として認識されたのではないか、
それらがその後、接続法としての
「縫い」として和裁や洋裁に進化し、
又「刺子」に代表される保温と補強としての「刺し」と
多色を用いて文様を縫い表していく「繍」(ぬい)として
発展してきたように考えます。
刺繍は文様表現としては極めて素朴な技法であり
世界中何処の国にも存在します。
我が国では、和装衣装の文様表現として
色彩の細やかさや広がり、線と面の自由さを誇示し
日本の伝統工芸として暮らしの中で生かされ育まれてきました。
長い伝統に育まれ、工夫され、多種の技法が考案されています。
それは30種から、分類の方法によっては100種に及びます。
一本の針と一筋の糸だけで表現する技ですから
糸の並べ方が基本になります。
その基本はひと針でぬった糸の長・短、そして粗・密です。
素材として、より糸・ひら糸・金糸・銀糸
より金糸・より銀糸・ひら金糸・漆糸等があります。
これらの糸の太さと細さ、またより混ぜを合わせますと
素材だけでも何10種類にもなるのです。
名物裂の一つとして数えられる竹屋町は
一見して織物のように映る刺繍で
その名称は京都の町の名前に由来します。
平箔糸を用い布の緯糸に沿い経糸をすくい
それをとじ糸の代わりにしながら
文様の面をぬい詰めます。
経糸のすくい糸は本数によって場所を変えます。
裏に回った箔と表に出た箔とで
幾何文様が自由に作れるのが特徴です。
主に表装裂に使います。
点を表わす典型的な技法です。
極短のひと針を下絵の線上に
一定の間隔を置いてぬっていきます。
「芥子の実」のように見えるので
この名前がついています。
針に通してぬえない太い糸や金・銀糸を
別の細糸で布にとじつけながら
平面を埋めていきます。
下絵の外の線からぬいはじめ内側へと埋め進めます。
この技法は、鎌倉時代から使われ
現存する繍仏などに、この技法が見られます。
金糸のしなやかさを利用し
べつの細糸で布にとじ付けます。
安定した美しい線を作るためには
置き糸のとじかたに神経を使います。
普通は2本を同時に使用しますが
1本なら「片駒取り」と言います。
組み紐を模したぬい方です。
輪郭線の左から斜めに4針ぬいます。
次に今ぬった所を重ねて
右から斜めに4針ぬっていき
中央に4角形が2列できますから
この四角形を維持しながら縫い進みます。
布の織り組織を良く見ますと
緯糸には山の所と谷の所があります。
この谷の目を読み、谷に糸を沿わせます。
渡りの長い場合は浮かないように
別の細糸でとじ付けます。
谷の部分を1つ空けるのを一目の菅
2つ空けるのを二目の菅と言います。
平面をぬい詰める技法です。
この図の場合渦の中心に向かって流れるように
ぬい糸の方向が変化します
そのためには、糸の重ね方その加減
渡り糸の長短を巧みに変化させる必要があります。
下絵の線の部分をぬう技法です。
文字や文様の輪郭など
細い線を動きあるように縫っていきます。
線を表わす基本的な方法で、太くなれば中影ぬい
さらに大きな面になればぬい切りと名称が変わります。
立体感を出すために下絵の一回り内側に
木綿糸で下縫いをするか
綿などを縫い付けておきます。
この図の場合は厚紙がはりつけてあります。
より金糸をとじ付けながら
折り返して詰めていきます。
記章や旗など重厚感が必要な物に用いられます。
線をぬう技法です。
鎖が連なっているように見えます。
チェーンステッチです。
わが国には奈良時代に伝えられ
繍仏などに用いられました。
京都、山科の勧修寺の刺繍釈迦説法図(国宝)は
この鎖ぬいと相良ぬいの二技法で作られています。
暈していくぬい方です。
刺繍の場合、この暈しを、「かする」と言います。
絵の具の場合は水で薄めて暈していく事ができますが
刺繍の場合は使用する糸を細くして
同時に渡りを短くそして粗くぬっていきながら暈します。
大きな面積での「かすり」は
糸の段階で地色までの3~5色を用意します。
暈す方向に、糸色をだんだんと地色に近づけて
ぬっていきます。
駒取りと同じです。
駒取りの場合は、金糸を使いましたが
今回は「桂撚り」という撚り方で絹糸を撚り
それを共色の細糸で布に綴じ付けます。
この図の場合は三重に縫い付けてあります。